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阪神タイガース伝説の大投手江夏豊、その魅惑の世界に迫ります。
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 ■ 江夏豊はプロ野球の選手ではあるが、野球に関連する本や記事を読む他、時代
小説をよく読むことで知られている。特に好んで読む作家は司馬遼太郎と藤沢周平。
武士,サムライは戦うわけで、野球選手も闘う。昔の武士、サムライは現在のような近代
的な組織戦争ではなく、武士の個人の技で戦う、いわば、個人ワザで勝負を挑む。この
点では、プロ野球、特に投手は個人の技、力に依存する度合いが高い。その個人ワザ
と武士道に通じる精神を色濃く残しているのが江夏豊である。

 ■ 司馬遼太郎作品の中で、最も愛読しているのが、土方歳三を主人公とする「燃え
よ剣」と江夏自身が語っている。その思い入れは半端じゃなく、この長編小説を6回も読
んだという。新選組の局長近藤勇や沖田総司でなく、副局長の土方歳三であることが
いかにも江夏らしい。「燃えよ剣」では、土方歳三は戦闘に抜群な才能を発揮する徹底
的な殺陣師として描かれている一方、幕府を最後まで守るという約束、初心を貫き通し
た不器用な生き方をした武士であった。最後は函館で潔く死を遂げることになるという
まっすぐで正直すぎる、生き様に江夏が共感する。また、今はあまり見かけなくなった
恥じらいを持った恋人お雪へのせつない恋心。 これもまた、江夏好みであろう。

 ■ 藤沢周平の作品では「蝉しぐれ」がお気に入りという。
宝島社出版のわたしの藤沢周平の中で、江夏は次のように語っている。
「剣の道と野球の道では同じ体を使っても大きく違うところがある。野球は失敗から学べ
ますが、剣の道はひとつしかない命を懸けて、その瞬間に判断するわけです。"この次”
はない。その意味ではより高度で冷静な集中力が必要だったのではないでしょうか。
命を懸けるというとこは、とても勇気がいることだろうと思います。僕は目をつぶれば同じ
シーンが何回でも浮かびます。王さんのバットにボールがパッと乗ってピューと運ばれて
いくシーンが、現役を終わって20数年たっているのにいまだに頭から消えない。テレビ
でスローモーションで映すことがありますが、音の出ないスローモーションではっきり目に
浮かびます。僕と同世代の衣笠祥雄、鈴木啓示、山田久志とか皆、同じことを言います。
自分達は、剣の道のように命を懸けていたわけではないけれど、別のものを懸けていた
ということはあるでしょうね。」
命までは懸けなかったのですが、今はあまり見かけない純粋な野球道を最後まで貫いた
一人が江夏豊であり、だからこそ単なる記録だけでなく、記憶に残る物語をいくつも残した
のです。

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横浜虎キチ、68才。
江夏、村山、田淵時代以来の虎暦40年、現役では福原忍投手のファン。
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